『豆類・大豆製品は、腸・血糖・筋肉・血管を支え、年齢を重ねる体の静かな味方』いつもの食品を再発見するシリーズ 第2回

健康とからだ

「いつもの食品を、栄養と暮らし、調理法から再発見するシリーズ」

納豆、豆腐、味噌、枝豆、厚揚げ、煮豆。

豆類や大豆製品は、昔から日本の食卓にある、とても身近な食べものです。

あまりに身近すぎて、そのよさを改めて考える機会は少ないかもしれません。

豆類には、年齢を重ねても動ける体をつくり、腸や血管を整え、これからの人生を支えてくれる栄養が、静かに詰まっています。

特別な健康食品を探さなくても、いつもの味噌汁に豆腐を入れる。

朝食に納豆を一品加える。

サラダに蒸し大豆を少しのせる。

そんな小さな習慣が、エイジレスライフの土台になるかもしれません。

豆類には、どのようなものがあるのでしょう

豆類には、さまざまな種類があります。

大豆、あずき、いんげん豆、ひよこ豆、レンズ豆、えんどう豆、そら豆などです。

落花生も、植物の分類では豆の仲間です。

このうち大豆からは、私たちになじみ深いさまざまな食品がつくられています。

納豆、豆腐、豆乳、味噌、醤油、きな粉、厚揚げ、油揚げ、枝豆などです。

同じ大豆からできていても、つくり方によって、含まれる水分や栄養、食物繊維の量は異なります。

たとえば、豆そのものを食べる納豆、枝豆、蒸し大豆には食物繊維が比較的多く残ります。

一方、豆腐や豆乳も良質なたんぱく源ですが、製造過程で「おから」が取り除かれるため、食物繊維は豆そのものより少なくなります。

そのため、

「筋肉を支えたい日は豆腐」
「食物繊維もとりたい日は納豆や蒸し大豆」

というように、いろいろな大豆製品を組み合わせるとよいでしょう。

年齢を重ねるほど、たんぱく質が大切になる

年齢を重ねると、若いころと同じように暮らしていても、筋肉は少しずつ減りやすくなります。

歩く。

立ち上がる。

買い物に出かける。

階段を上る。

旅行を楽しむ。

こうした日常の自由を支えているのは、筋肉です。

豆類や大豆製品には、体をつくる材料となるたんぱく質が含まれています。

特に大豆は、体内でつくることのできない9種類の必須アミノ酸をすべて含む、良質な植物性たんぱく質源です。

ただし、大豆製品を食べるだけで筋肉が増えるわけではありません。

筋肉を守るには、

・食事で必要なたんぱく質をとること
・歩くこと
・立ち座りや軽い筋力運動をすること
・十分に休むこと

が一緒に大切になります。

納豆を食べたあとに少し歩く。

豆腐の入った味噌汁を食べて、買い物に出かける。

食べることと動くことがつながったとき、筋肉を支える習慣になります。

肉をやめるのではなく、豆という選択肢を増やす

植物性たんぱく質がよいからといって、肉や魚をすべて豆類に置き換える必要はありません。

肉、魚、卵、乳製品にも、それぞれの栄養とおいしさがあります。

大切なのは、どれか一つに偏りすぎないことです。

肉料理が続いた日の翌日は、豆腐や納豆を中心にしてみる。

ひき肉の一部を大豆や豆腐に置き換える。

サラダにハムをのせる代わりに、蒸し大豆やひよこ豆を加える。

このように選択肢を増やすことで、食事全体の飽和脂肪酸を抑え、食物繊維を増やしやすくなります。

これは「肉を我慢する食事」ではありません。

肉も楽しみながら、豆料理という別の楽しみを食卓に加えることです。

選べるものが増えることは、人生の自由が増えることでもあります。

豆類の食物繊維が、腸を支える

豆類の大きな特徴の一つが、食物繊維です。

食物繊維は、人の消化酵素では十分に分解されにくい成分です。

かつては、栄養にならないものと考えられていた時代もありました。

しかし現在では、便の量を増やすこと、腸内細菌の働きを支えること、糖や脂質の吸収をゆるやかにすることなど、体を整える重要な役割が注目されています。

腸は、食べたものを消化するだけの場所ではありません。

栄養を吸収し、不要なものを外へ出し、免疫機能とも深く関わっています。

年齢を重ねると、運動量や食事量、水分摂取量が減り、便通が変化することがあります。

そんなときにも、豆類、野菜、海藻、きのこなどを組み合わせ、無理のない範囲で食物繊維をとることが役立ちます。

ただし、急に豆類をたくさん食べると、お腹が張ったり、ガスが増えたりすることがあります。

最初は少量から始め、水分も忘れずにとりましょう。

体によいと聞いたから一度に増やすのではなく、体の反応を見ながら少しずつ。

これも、体と対話するエイジレスな食べ方です。

食後の血糖値をゆるやかにする助けになる

ごはん、パン、麺類などの炭水化物は、私たちの大切なエネルギー源です。

しかし、炭水化物だけに偏った食事では、消化吸収が速くなり、食後の血糖値が急に上がりやすくなることがあります。

豆類には、たんぱく質や食物繊維、ゆっくり消化される炭水化物が含まれています。

そのため、ごはんやパンだけで食べるよりも、豆類や大豆製品を一緒に組み合わせることで、食事全体の消化吸収をゆるやかにしやすくなります。

たとえば、

白いごはんに納豆を加える。

パンだけで済ませず、豆のスープを添える。

麺類に豆腐や枝豆、野菜を加える。

このように、主食をなくすのではなく、たんぱく質や食物繊維を含む食品を足していく方法なら、無理なく続けられます。

豆類は腹持ちもよいため、食後すぐに甘いものが欲しくなることや、間食の食べ過ぎを抑える助けにもなります。

血管と心臓にやさしい食事につながる

血管は、脳、心臓、腎臓、筋肉、皮膚など、体のすみずみに酸素や栄養を運ぶ道です。

エイジレスライフを考えるうえで、血管を健やかに保つことは欠かせません。

豆類は一般に、飽和脂肪酸が少なく、食物繊維、カリウム、マグネシウムなどを含みます。

肉類の一部を豆類や大豆製品に置き換えると、食事全体の飽和脂肪酸を減らし、植物性食品を増やすことにつながります。

大豆食品を取り入れた食生活では、血中コレステロールをわずかに下げる可能性も報告されています。

ただし、その効果は薬のように大きなものではありません。

豆腐を一度食べたから、血管が急に若返るわけでもありません。

大切なのは、

豆類を食べること。
野菜や魚も食べること。
塩分をとりすぎないこと。
体を動かすこと。
喫煙を避けること。
眠ること。

こうした生活全体の積み重ねです。

豆類は、その中の一つとして、血管を守る食生活を静かに支えてくれます。

大豆イソフラボンは、ポリフェノールの仲間

大豆には、たんぱく質や食物繊維だけでなく、大豆イソフラボンという成分も含まれています。

イソフラボンは、植物がつくる成分であるポリフェノールの一種です。

ポリフェノールには、大豆のイソフラボンのほかにも、

お茶に含まれるカテキン、
ブルーベリーや紫色の野菜に含まれるアントシアニン、
コーヒーに含まれるクロロゲン酸、
たまねぎなどに含まれるケルセチン

など、さまざまな種類があります。

植物は動物のように場所を移動できません。

強い紫外線や乾燥、害虫などから自らを守るために、さまざまな成分をつくっています。

ポリフェノールも、そのような植物成分の一つです。

私たちは野菜、果物、豆類、お茶などを食べることで、それらの成分も一緒に取り入れています。

「酸化」は、すべて悪いことなのでしょうか

私たちは呼吸によって酸素を取り込み、その酸素を使って、生きるためのエネルギーをつくっています。

その過程では、活性酸素と呼ばれる反応性の高い物質も生じます。

活性酸素は、すべてが悪いものではありません。

体内では、細菌などから身を守る免疫反応や、細胞同士の情報伝達にも使われています。

そして私たちの体には、増えすぎた活性酸素を処理するための酵素や抗酸化物質など、もともとの防御機能が備わっています。

ところが、

紫外線、
喫煙、
過度の飲酒、
慢性的な炎症、
睡眠不足、
強いストレス、
大気汚染など

さまざまな要因が重なると、活性酸素の発生と、体が備えている抗酸化防御との釣り合いが崩れることがあります。

この状態が、一般に酸化ストレスと呼ばれます。

酸化ストレスが長く続くと、脂質、たんぱく質、DNAなどが傷つき、老化やさまざまな病気に関係する可能性があります。

今後、Ageless Journeyでは、この「老化と酸化」について、もう少し詳しく取り上げていきたいと思います。

大豆イソフラボンの抗酸化作用も研究されている

大豆イソフラボンをはじめとするポリフェノールには、酸化に関わる反応に影響したり、体がもともと備えている防御機構を支えたりする可能性があり、研究が進められています。

ただし、ここで注意したいことがあります。

ポリフェノールが試験管の中で強い抗酸化作用を示したとしても、それがそのまま人の体内で同じように働くとは限りません。

食べた成分は、胃や腸で消化され、吸収され、肝臓で代謝されます。

また、どの程度利用できるかは、食べる量、腸内細菌、体質、年齢、健康状態などによっても違います。

したがって、

「大豆を食べれば活性酸素がすべて消える」

「イソフラボンをとれば老化を防げる」

と考えるのは、少し単純すぎます。

体を酸化から守る主役は、あくまでも私たちの体に備わっている抗酸化防御機能です。

大豆イソフラボンなどの植物成分は、その働きに関わる可能性が研究されているものの、老化を止める特別な薬ではありません。

過度に期待せず、かといって軽く見すぎず。

野菜、果物、豆類、海藻、きのこなど、多様な食品を食べる中で自然に取り入れる。

そのくらいの距離感が、ちょうどよいのではないでしょうか。

女性ホルモンに似た働きもある

大豆イソフラボンは、その構造が女性ホルモンのエストロゲンに似ているため、植物性エストロゲンとも呼ばれます。

ただし、人の女性ホルモンと同じ強さで働くわけではありません。

体内の状態や組織によって、弱く似た作用を示したり、逆にエストロゲンの働きを抑える方向に関わったりする可能性があります。

更年期のほてりや、閉経後の骨の健康などとの関係も研究されています。

しかし、効果には個人差があり、研究結果が一致していない部分もあります。

「イソフラボンさえとれば安心」と考えるのではなく、骨については、

たんぱく質、
カルシウム、
ビタミンD、
歩行や筋力運動、
日光に適度に当たること

などを含め、生活全体で考えることが大切です。

サプリメントより、まず食品から

大豆イソフラボンに関心を持つと、サプリメントを利用した方が効率的なのではないかと思うかもしれません。

しかし、食品として大豆を食べる場合には、イソフラボンだけでなく、たんぱく質、脂質、ビタミン、ミネラル、食品によっては食物繊維なども一緒にとることができます。

一方、サプリメントでは、特定の成分だけを濃縮して摂取することになります。

食品に含まれる量を大きく超えてとれば、必ず健康効果が高まるとは限りません。

体に必要な成分であっても、「多いほどよい」とは限らないのです。

まずは、

納豆、
豆腐、
豆乳、
味噌、
枝豆、
蒸し大豆

など、普段の食品として取り入れることを基本にしたいと思います。

サプリメントを使用する場合、とくに治療中の病気がある方や薬を服用している方は、医師や薬剤師に相談した方が安心です。

発酵大豆食品にも、それぞれの個性がある

納豆、味噌、醤油などは、大豆を微生物の力で発酵させた食品です。

発酵すると、大豆に含まれる成分の一部が分解・変化し、味や香り、消化のされ方にも違いが生まれます。

納豆

納豆は、大豆のたんぱく質と食物繊維をとれるうえ、発酵によってビタミンK₂が多く含まれます。

ごはんに納豆をのせるだけで、炭水化物だけになりやすい朝食に、たんぱく質と食物繊維を加えることができます。

ただし、ワルファリンを服用している方は、納豆に多いビタミンKが薬の作用を弱めるため、原則として避ける必要があります。

味噌

味噌汁は、豆腐、野菜、海藻、きのこなどを一緒に食べられる、便利な料理です。

具を増やすと、汁の量を少なくしても満足感が得られます。

一方で、味噌には塩分があります。

だしや野菜、きのこのうま味を活かし、味噌を入れすぎないことが大切です。

一杯の味噌汁だけでなく、漬物、加工食品、外食などを含めた、一日の塩分全体で考えましょう。

豆腐

豆腐はやわらかく、食欲が落ちているときにも食べやすいたんぱく源です。

冷奴だけでなく、味噌汁、湯豆腐、鍋、炒め物など、さまざまな料理に使えます。

木綿豆腐と絹ごし豆腐では、製法や水分量が異なるため、栄養成分にも少し違いがあります。

どちらが優れているというより、料理や食べやすさで選んで構いません。

豆乳

豆乳は飲みやすく、大豆のたんぱく質を手軽にとれる食品です。

ただし、市販品には無調整豆乳、調製豆乳、豆乳飲料があります。

甘味が加えられた豆乳飲料では糖分が多くなることがあるため、日常的に飲むなら、原材料表示や栄養成分表示を確認するとよいでしょう。

毎日の食卓にどう取り入れるか

むずかしい献立を考える必要はありません。

いつもの食事に少し足すだけでも十分です。

朝食

・ごはんに納豆を添える
・味噌汁に豆腐を入れる
・無調整豆乳を少量加える
・パンだけの日には、豆のスープを添える

昼食

・うどんやそばに油揚げや豆腐を加える
・サラダに蒸し大豆やひよこ豆をのせる
・スープにレンズ豆を加える
・おにぎりだけでなく、豆腐や納豆も組み合わせる

夕食

・肉料理の一部を豆腐や厚揚げに置き換える
・具だくさん味噌汁をつくる
・ひじきの煮物に大豆を入れる
・カレーにひよこ豆や大豆を加える
・枝豆を小さな副菜にする

間食

・甘いお菓子の代わりに、少量の枝豆や炒り大豆を選ぶ
・きな粉を無糖ヨーグルトなどに加える

ただし、炒り大豆などの硬い豆は、歯や飲み込む力に不安がある方には向きません。

その場合は、やわらかく煮た豆、豆腐、豆乳などを選びましょう。

豆を食べると、お腹が張るのはなぜでしょう

豆類には、腸内細菌によって発酵されやすい糖質や食物繊維が含まれています。

そのため、食べ慣れていない人が急にたくさん食べると、ガスが増えたり、お腹が張ったりすることがあります。

これは必ずしも体に悪い反応というわけではありませんが、苦しくなるほど無理をする必要はありません。

少量から始める。

よく噛む。

やわらかく煮る。

煮豆や缶詰の水を切って使う。

一度に大量に食べず、何回かに分ける。

こうした工夫で、食べやすくなることがあります。

お腹の症状が強い方や、過敏性腸症候群などの持病がある方は、医師や管理栄養士に相談してください。

豆類を食べるときの注意点

豆類や大豆製品は、多くの人にとって取り入れやすい食品ですが、誰にでも同じ食べ方が適しているわけではありません。

大豆アレルギー

大豆アレルギーのある方は、大豆食品を避ける必要があります。

腎臓病

腎臓の機能に応じて、たんぱく質、カリウム、リンなどの調整が必要になることがあります。

自己判断で豆類を増やさず、主治医や管理栄養士に確認してください。

ワルファリン

ワルファリンを服用している方は、納豆を食べてはいけないと指示されるのが一般的です。

納豆菌は腸内でもビタミンKをつくるため、一度だけ食べるといった自己判断も避けましょう。

甲状腺ホルモン薬

大豆食品が甲状腺ホルモン薬の吸収に影響する可能性があります。

大豆を完全に避けるという意味ではなく、薬と食事の間隔をあけるなど、服用方法を医師や薬剤師に確認することが大切です。

体によい食事は、一つの成分で決まらない

健康情報を見ていると、

イソフラボン、
ポリフェノール、
食物繊維、
たんぱく質、
発酵食品

と、特定の成分だけに目が向きやすくなります。

けれども、私たちが食べているのは、成分表ではなく食事です。

納豆を何と一緒に食べるか。

豆腐の味噌汁に何を入れるか。

肉、魚、卵、野菜、海藻、きのこを、どのように組み合わせるか。

毎日どのくらい歩き、どのくらい眠っているか。

健康は、こうした暮らし全体の中でつくられていきます。

イソフラボンだけに老化を防いでもらおうとするのではなく、豆類や大豆製品を、多様な食生活の中に置いてみる。

それが、もっとも自然で続けやすい方法だと思います。

豆は、人生後半の小さな味方

豆類・大豆製品は、派手な健康法ではありません。

食べた翌日に、急に体が若返るわけでもありません。

けれども、

筋肉をつくる材料になる。
腸を支える。
食後血糖をゆるやかにする助けになる。
血管にやさしい食生活につながる。
多様な植物成分を食卓に届けてくれる。

そんな小さな働きを、毎日の食事の中で積み重ねてくれます。

エイジレスライフとは、年齢をなかったことにすることではありません。

年齢と向き合いながら、体の仕組みを知り、今日できることを一つずつ重ねていくことです。

今日の小さなアクションは、ひとつだけ。

いつもの食事に、豆類や大豆製品を一品加えてみる。

朝の納豆でも構いません。

味噌汁の豆腐でも構いません。

サラダにのせる、ひとさじの蒸し大豆でも構いません。

その小さな一品が、これからも歩き、学び、出かけ、人生を楽しむ体を、静かに支えてくれるかもしれません。

いつもの食品を、栄養と暮らし、調理法から再発見するシリーズ

 第1回 『野菜・海藻・きのこは体の調整役。具だくさんみそ汁で整える小さな習慣』

 第2回 『豆類・大豆製品は、腸・血糖・筋肉・血管を支え、年齢を重ねる体の静かな味方』

 第3回 『ブロッコリーは、添え物だけではもったいない』

 第4回 『たんぱく質は、何から摂ればよいのか。』

 第5回 『厚揚げは、主菜になれる』

 第6回 『脂質は体に欠かせない栄養素。しかし、摂りすぎと偏りに気をつけて』

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