お酒は本当に少量なら体によいのか

健康とからだ

この文章は、シリーズ「これからの時間をひらく、日々の習慣」の第1回です。
シリーズは、「これからの時間をひらく、日々の習慣」で紹介しています。

— これからの時間をひらく、アルコールとの距離 —

お酒は、長い間、人の暮らしの中にありました。

祝いの席。
仕事のあとの一杯。
親しい人との会話。
季節の行事や食事の楽しみ。

「少量なら体によい」「百薬の長」という言葉を聞いてきた人も多いと思います。
けれど、今は少し立ち止まって考える時期に来ているのではないでしょうか。

この記事では、お酒を飲む人を責めたいわけではありません。
お酒が人間関係や気分転換の場にあったことも、否定したいわけではありません。

ただ、人生後半の旅を自分らしく歩むためには、お酒を「楽しみ」だけで見るのではなく、健康、判断力、依存、人間関係への影響を持つものとして、もう一度見直すことが大切だと思います。

「少量なら体によい」とは言いにくくなっている

以前は、少量のお酒は体によいと言われることがありました。
しかし近年は、その見方はかなり慎重になっています。

WHOとIARCは、アルコールとがんについて、少量・中等量の飲酒でもがんリスク増加の明確な証拠があり、がんに関して安全な飲酒量は確立できないという見解を示しています。

つまり、「飲めば必ずがんになる」という話ではありません。
けれど、「少量なら体によいから安心して飲める」と単純には言いにくくなっているのです。

お酒は、単なる嗜好品というだけではありません。
体の中に入ると、アルコールは分解され、アセトアルデヒドという物質が生じます。
アルコールやアセトアルデヒドには発がん性があるとされています。

ここは、人生後半を健やかに過ごすうえで、知っておきたい大切な点です。

顔が赤くなる人は、体からのサインかもしれない

お酒を少し飲んだだけで顔が赤くなる人がいます。
これは、体質と関係していることがあります。

アルコールが体内で分解される途中でできるアセトアルデヒドを処理する働きに、ALDH2という酵素が関わっています。
日本人には、このALDH2の働きが弱い人が少なくありません。

ビール1杯で顔が赤くなるような人は、アセトアルデヒドを分解しにくい体質である可能性があります。
そのような人が飲酒を続けると、頭頸部や食道のがんリスクが高まりやすいとされています。

「弱いから鍛えれば飲める」ではなく、
「体が合わないと教えてくれている」
と受け止めることも、自分を守る大切な視点だと思います。

お酒は判断力を鈍らせる

お酒の問題は、がんや肝臓だけではありません。

アルコールは、気分を変えます。
緊張をゆるめることもありますが、同時に判断力を鈍らせます。

その結果として、失言、けんか、浪費、事故、転倒、暴力、家族関係の悪化などにつながることがあります。
人生後半では、健康だけでなく、信用、人間関係、資産、暮らしの安定も大切な土台です。

判断力を失う時間が増えることは、人生を豊かにする方向とは逆に働いてしまうかもしれません。

依存しやすいものだと知っておく

お酒は、依存性を持つものです。

これは、意志が弱いという話ではありません。
アルコールそのものに、気分を変え、また飲みたくさせる作用があります。

最初は楽しみだった一杯が、いつの間にか、眠るため、不安を忘れるため、寂しさを紛らわせるための一杯に変わることがあります。

長年の飲酒文化と、ストレスの多い社会が重なると、お酒は「楽しむもの」から「耐えるための道具」になってしまうことがあります。

そこに気づくことが、人生後半の自由を守る一歩になるのだと思います。

お酒を責めるより、満たされる時間を増やす

お酒を悪者にして終わりにしたいわけではありません。
大切なのは、お酒に頼らなくても満たされる時間を増やしていくことです。

朝の散歩。
夕方のウォーキング。
温かいお茶。
顔なじみとの挨拶。
誰かに「ありがとう」と言われる小さな役割。
日記やブログを書く時間。
音楽を聴くこと。
植物に水をやること。
学び直しをすること。

どれも派手な楽しみではありません。
けれど、体を傷つけず、判断力を曇らせず、翌朝の自分を責めることもない時間です。

お酒を減らすことは、楽しみを失うことではありません。
静かに満たされる時間を取り戻すことでもあります。

これからの時間をひらき、人生の自由を守るために

お酒を飲むか、飲まないか。
減らすか、やめるか。
その選択は、人によって違います。

けれど、少なくとも「少量なら体によいから飲む」という時代ではなくなってきました。

お酒には、発がん性、依存性、判断力への影響があります。
その性質を知ったうえで、人生の自由を守るために距離を考える。

そして、お酒に頼らなくても満たされる時間を、暮らしの中に少しずつ増やしていく。

それは我慢ではなく、人生の旅をもう一度ひらいていくための、前向きな選択なのだと思います。

このシリーズ「これからの時間をひらく、日々の習慣」では、これからも健康と意欲を支える暮らしの習慣を、少しずつ考えていきます。

「これからの時間をひらく、日々の習慣」シリーズ記事

第1回:お酒は本当に少量なら体によいのか
— これからの時間をひらくために、アルコールとの距離を考える —
少量飲酒、発がん性、依存、判断力低下、睡眠、転倒、人間関係への影響を整理します。飲む人を責めるのではなく、人生後半の自由を守るために、アルコールとの距離を考える記事です。

第2回:歩く力は、40代から静かに変わる
— ロコモのはじまりに早く気づくために —
ロコモ、サルコペニア、フレイルの関係を整理し、筋力だけでなく、栄養、外出、人との関わりから考えます。毎日の歩行、たんぱく質、社会参加など、暮らしの中でできる予防を紹介します。

第3回:口は健康寿命の入口
— 噛む力・飲み込む力・話す力を守るオーラルケア —
歯、歯周病、入れ歯、噛む力、飲み込む力、オーラルフレイルを扱います。口の健康が、食事、会話、人とのつながりに関わることを伝えます。

第4回:生きがいは体に何をしているのか(準備中)
— 生きる意欲、脳、生活リズム、人とのつながり —
生きがいを、精神論だけでなく、生活リズム、外出、会話、脳への刺激、役割意識として考えます。大きな夢ではなく、小さな灯りとしての生きがいを扱います。

第5回:これからの時間を整える朝習慣(準備中)
— 散歩、朝食、歯みがき、日光、挨拶、小さな予定 —
朝の時間を、未来の自分を支える習慣として整える実践記事です。読者が「明日の朝から少しやってみよう」と思える内容にします。

コメント

タイトルとURLをコピーしました