人生後半の自由を守るマネーリテラシー 見栄と不安からの支出を選び直す

暮らし・学び・生き方

お金は、ただ節約するためにあるのではありません。
これからの人生を、自分らしく、健やかに、少しでも自由に歩むためにあります。

けれど私たちは、ときに「見栄」や「不安」や「昔からの習慣」によって、必要以上の支出を抱えてしまうことがあります。

高い車、住宅ローン、保険、医療費、投資信託、旅行、お墓や葬儀。
どれも大切な支出になり得ます。
しかし、仕組みを知らないまま選ぶと、人生後半の暮らしを少しずつ細らせてしまうこともあります。

このシリーズでは、支出を責めるのではなく、これからの人生を支えるお金の使い方を一緒に考えていきます。


はじめに

お金の話は、人生の話でもある

お金の話というと、少し冷たく感じることがあります。

節約。
損得。
老後資金。
保険。
ローン。
投資。

こうした言葉が並ぶと、どこか緊張してしまう方もいるかもしれません。

けれど、Ageless Journeyで考えたいお金の話は、単なる節約術ではありません。

大切なのは、
これからの人生を支えるために、お金をどう使うか
ということです。

年齢を重ねると、暮らしの形は変わっていきます。
働き方が変わる。
収入が変わる。
体調への気づかいが増える。
住まいの安全性が大切になる。
家族との関係も変わる。
そして、自分の時間をどう使うかが、より大切になっていきます。

そのときに、毎月の固定費や大きな契約が重くのしかかっていると、人生の選択肢が狭くなってしまうことがあります。

旅行に行きたい。
体に良い食事をしたい。
住まいを暖かくしたい。
学び直したい。
人と会いたい。
小さな活動を始めたい。

そう思っても、過去に決めた支出が重く、身動きが取りにくくなる。
それは、とてももったいないことです。

だからこそ、人生後半には、
支出を減らすためではなく、自由を守るためのマネーリテラシー
が必要になるのだと思います。


見栄や不安は、誰にでもある

まず、大切なことがあります。

高い車を買った人。
大きな家を建てた人。
保険にたくさん入った人。
勧められるまま金融商品を買った人。
立派な葬儀やお墓を用意した人。

こうした人を責めるために、このシリーズを書くのではありません。

私たちは誰でも、見栄を張りたくなることがあります。
人から軽く見られたくない。
ちゃんとしていると思われたい。
家族に恥ずかしい思いをさせたくない。
親として、夫婦として、社会人として、きちんとしていたい。

そういう気持ちは、決して悪いものではありません。

また、不安も同じです。

病気になったらどうしよう。
子どもに迷惑をかけたくない。
老後のお金が足りなくなったらどうしよう。
家が傷んだらどうしよう。
お墓や葬儀で親戚に何か言われたらどうしよう。

こうした不安も、自然なものです。

問題は、見栄や不安そのものではありません。
問題は、その気持ちに高額な契約や複雑な仕組みが重なり、気づかないうちに家計を圧迫してしまうことです。


「月々これくらいなら」が、自由を削ることがある

大きな支出は、最初から大きく見えるとは限りません。

月々数万円。
月々数千円。
今ならキャンペーン。
長く使えば安心。
万一に備えて。
皆さん入っています。
今のうちに決めた方が得です。

こう言われると、つい「それくらいなら」と思ってしまいます。

けれど、月々の支払いは、年額にすると大きくなります。
さらに、10年、20年と続くと、人生の自由度に大きく影響します。

車のローン。
リース契約。
自動車保険。
生命保険。
医療保険。
住宅ローン。
修繕費。
投資信託の手数料。
通信費。
サブスク。
お寺やお墓に関する費用。

一つひとつは払えそうに見えても、積み重なると、家計を静かに圧迫します。

そして怖いのは、これらの多くが「固定費」になりやすいことです。

固定費は、一度契約すると、毎月自動的に出ていきます。
意識しなくても出ていく。
疑問を持たなくても出ていく。
見直さなければ、ずっと出ていく。

人生後半では、この固定費が、思った以上に大きな意味を持ちます。

売る側の仕組みを知ることは、疑うことではない

企業や営業担当者を、すべて悪者にする必要はありません。

良い商品もあります。
必要なサービスもあります。
親身に考えてくれる担当者もいます。

ただし、生活者として知っておきたいことがあります。

売る側には、売る側の利益があります。
これは当然のことです。

車であれば、車両本体だけでなく、ローン、オプション、保険、メンテナンス、買い替えサイクルがあります。
住宅であれば、建築費だけでなく、設備、外構、リフォーム、修繕、保険があります。
保険であれば、基本保障に加えて、特約や更新があります。
投資信託であれば、購入時の費用や保有中の手数料があります。
葬儀やお墓であれば、慣習や世間体と結びついた追加費用があります。

ここを知ることは、人を疑うことではありません。

自分の判断を取り戻すことです。

「これは本当に必要なのか」
「今決めなければいけないのか」
「総額はいくらなのか」
「途中でやめられるのか」
「公的制度や別の選択肢はないのか」

こうした問いを持つだけで、支出の見え方は変わります。

不安をゼロにするために、お金を使い続けない

不安は、完全には消えません。

病気の不安。
老後の不安。
家族の不安。
住まいの不安。
お金の不安。

人間である以上、不安があるのは自然なことです。

けれど、不安をゼロにしようとして、お金を使い続けると、暮らしそのものが細ってしまうことがあります。

保険に入りすぎる。
念のためのオプションを重ねる。
必要以上に高いプランを選ぶ。
営業担当者の言葉を断れない。
周囲の目を気にして、身の丈を超えた支出をする。

その結果、日々の食事、住まいの快適さ、健康づくり、旅、学び、人とのつながりに使えるお金が減ってしまう。

それでは、本末転倒です。

安心のための支出が、暮らしの安心を削ってしまう。
そういうことが、現実には起こり得ます。


公的制度と代替策を知る

民間の商品を選ぶ前に、知っておきたいことがあります。

それは、すでに用意されている公的制度や、より負担の少ない選択肢です。

医療費には、公的医療保険や高額療養費制度があります。
介護には、介護保険制度があります。
年金には、公的年金制度があります。
住宅には、自治体の補助制度がある場合もあります。
金融商品には、低コストで長期投資に向いた選択肢もあります。
葬儀やお墓にも、近年はさまざまな形があります。

もちろん、公的制度だけですべてが足りるわけではありません。
人によって必要な備えは違います。

ただ、制度を知らないまま不安だけで契約すると、必要以上の支出になりやすいのです。

大切なのは、順番です。

まず、公的制度を知る。
次に、自分に足りない部分を考える。
そのうえで、民間の商品やサービスを選ぶ。

この順番を守るだけでも、家計の負担は大きく変わります。

支出を責めるのではなく、選び直す

ここで誤解したくないのは、
「高いものを買ってはいけない」
という話ではないことです。

高い車に乗ることで、心が弾む人もいます。
家にお金をかけることで、安心して暮らせる人もいます。
保険に入ることで、心が落ち着く人もいます。
旅行にお金を使うことで、人生が豊かになる人もいます。
お墓や法要にお金を使うことで、感謝の気持ちを表せる人もいます。

大切なのは、金額の大小ではありません。

その支出が、
これからの人生を支えているか
です。

見栄のためだけに払っていないか。
不安をあおられて払っていないか。
断れずに払っていないか。
昔の常識のまま払っていないか。
本当は別のことに使いたいお金ではないか。

ここに気づくことが、第一歩です。


浮いたお金は、人生を豊かにするために使う

支出を見直す目的は、ただ我慢することではありません。

食事を整える。
体を動かす。
住まいを暖かくする。
歯や目や耳のケアをする。
人と会う。
旅に出る。
学び直す。
新しいことを始める。
家族や友人との時間を大切にする。
誰かのために小さく使う。

こうしたことにお金を回せるようになると、人生後半の景色は変わります。

お金は、人生を小さくするためではなく、人生を支えるために使いたいものです。

だからこそ、見栄や不安で流れ出ているお金に気づきたい。
そのお金を、自分の体、心、暮らし、人とのつながりへ戻していきたい。

それが、Ageless Journeyで考えるマネーリテラシーです。

今日できる小さなアクション

今日、できることは一つで十分です。

通帳、カード明細、スマートフォンの決済履歴を見て、毎月出ていく固定費を3つだけ書き出してみてください。

そして、その横に、そっと印をつけてみます。

必要。
安心。
見栄。
不安。
惰性。
義理。
よく分からない。

すぐに解約しなくて大丈夫です。
無理に決断しなくて大丈夫です。

まずは、気づくこと。
それだけで立派な一歩です。

見直すことは、過去の自分を責めることではありません。
これからの自分を守ることです。


おわりに

その支出は、これからの人生を支えていますか

人生後半のお金は、ただの数字ではありません。

それは、健康を守る力です。
住まいを整える力です。
人とつながる力です。
旅に出る力です。
学び直す力です。
新しい行動を始める力です。

だからこそ、見栄や不安に流されすぎず、支出を選び直していきたい。

高いものが悪いのではありません。
保険が悪いのでも、投資が悪いのでも、旅行やお墓が悪いのでもありません。

大切なのは、
その支出が、これからの人生を支えているか
です。

このシリーズでは、車、保険、投資信託、住宅、お墓や葬儀など、人生後半の家計に大きく関わるテーマを一つずつ見ていきます。

支出を減らすためだけではなく、
人生を細らせないために。
そして、大切なことにお金を使えるようにするために。

小さく学び、少しずつ選び直していきましょう。

Ageless Journeyは、これからの人生をひらいていくための旅です。
お金の使い方もまた、その旅の大切な道しるべになるのだと思います。

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